SUWA±5μの挑戦「超高精度金属砂時計」(前編)

※この記事は諏訪市の発行する「広報すわ」の平成24年10月1日号の記事をもとに作成したものです。

2016年6月10日、 「Mg85 Al10 Ca5」(燃えないマグネシウムを使った砂時計)の発売記者発表を行いました。
この商品は「SUWA±5μ」という異業種の連携体によるプロジェクトチームにより企画・製造・販売されています。
その後も、「精密加工」を通じて新しい知識・価値観を付与するという目的を目指し、多くの商品を生み出しています。
その第1弾にあたる「超高精度金属砂時計」についてお話を伺いました。


砂時計1個 42,800円 ――。高価か妥当か?

上記の問いは、これから紹介する記事を読んで考えてほしい。
取材は開発チームのメンバー(株)小松精機工作所・小松隆史研究開発部長(当時)に行った。
以下の発言は同氏による。
「顧客設定は中年男性。自分たちだったら欲しいと思う金額に決めた。
採算は最初から度外視。」と打ち明ける。
何しろ部品の一つひとつが最新技術、かつ少量生産。
それでも当初予定数量50個は、
新聞やテレビで報道されると注目を浴び、急遽100個に増産。
当初は売れないと思われたのに、、である。


超高精度の砂時計構想が始動

砂の画像②
「砂」は一般的なステンレス材料の産業廃棄物として捨てられる物だった。



小松氏は自社で開発・特許出願した100μ(ミクロン)の
合金の砂の利用法を考えていた。
ある時、知人のデザイナーとの会話の中で、
「人に伝わらない状況は、存在してないのと同じ」
との言葉に触発された。
「砂×時計=砂時計」とひらめいた。
でも、如何に製品化に結びつけるか。
砂の他に必要なもの
材料・ガラス・デザイン・加工技術・販売ルートは?、、、
当時、諏訪市経済部に新設された「産業連携推進室」(以下、連携室)
を思い出し、早速相談した。
連携室の仲立ちにより、ガラスはSUWAガラスの里(諏訪市)、デザインはZEST(塩尻市)、素材の仕上げ加工を(株)松一(諏訪市)、販売は諏訪湖サービスエリア(岡谷市)とガラスの里と連携することが
「あっという間に決まり、チームができた」。
もう一つの課題、上下の台座を構成する材料をどうするか。
ここには、岩手県釜石市で10年の歳月をかけ、産学官で共同開発したコバルトクロム合金を使用することにした。
被災地の材料を使うことで、長期的な復興支援としても貢献できるとの判断からだ。
各社から集まった5人の精鋭。
チーム名(ブランド名)を考えた。
SUWAブランドを考える上で欠かせないのが「精度」。
これを象徴する「μ」と、
チームを構成人数「5」を用い、
「SUWA±5μ」(スワプラスマイナス5ミクロン)と命名した。
いよいよプロジェクトが走りはじめる。


>>【次回】困難を乗り越え、異業種の連携による最新素材と伝統技術の融合が実現


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