「月追揺杯」制作現場レポート(ナノレベルの研磨技術編)

“輝きに酔う”という新しいコンセプトの酒器『月追揺杯』。
これまで、コンセプト加工技術についてレポートしました。
今回はいよいよ最終回。
酒器に命を吹き込む「磨きの技術」についてレポートします。


13:00 研磨のプロフェッショナル「松一」へ

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小松精機での加工を終えた「月追揺杯」を持って、
研磨のプロフェッショナルが待つ、松一へ。

切削加工、検査、組立をはじめ様々な精密技術を持つ松一は、
SEIKOをはじめ、国内外の有名メーカーの腕時計の研磨を
行ってきた実績を持つ諏訪でも有数の企業です。



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外面と内面で輝きが異なる「月追揺杯」。
月が揺れ動くような内面の美しさは、
一流の研磨職人でもある松澤社長ならではの職人技。



13:30 研磨作業の現場へ

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大きいものであれば、経験の少ない人でも磨ける一方、
間口の小さいものの場合、均一に磨くのは難しい研磨作業。
特に、「月追揺杯」のような小さい器の内面を
手作業で磨きあげられる人は日本全国でも数えるほどなのだとか。


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基本的に弟子だけに伝承していく研磨技術は非公開ですが、
内面は猫じゃらしのようなバフ※で磨くというヒントをいただきました。
※バフとは、柔軟性のある素材(布、皮、ゴム等)に砥粒を付着させたもの。機械などでバフを回転させることで金属の表面を磨いていきます。


16:00 続・研磨作業

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手作業で、凹凸差ナノレベルまで磨き上げていく


月追揺杯の場合、外側などのベース磨くのに半日。
内側の鏡面をナノレベルまで磨き上げるには丸2日はかかるそうです。
手作業で凹凸差、平均10ナノメートルまで磨き上げることが、松一クオリティ。
通常の原子1つが約0.8ナノメートルというお話を聞いて、
松一の、そして、諏訪の技術力の高さを感じました。


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松澤社長の職人技で磨き上がった「月追揺杯」



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左:加工前、右:加工後の部品。磨きの工程が加わることで違いを生み出している。


組織を超えて協力することで、今までにない酒器が生まれた

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当初、小松精機では「水が美味しく、酒蔵の多い諏訪ならではの酒器をつくろう」
と、細川半蔵頼直著『からくり』にあった、揺杯をヒントに開発を進めていました。
形状が決定し、研磨加工を松一が行う中で、
「磨き上げたら、底に月がある様に見える」という人や、
「中をのぞき込むと、顔が逆さに映って、これを見たら自分はとても酔っている様に思えますね」

という発見があり、『月追揺杯』のアイデアにつながったそうです。
精密加工を行う小松精機工作所、研磨を行う松一。
組織を超えて協力することで、今までにない酒器が生まれたのです。


商品名 『月追揺杯(つくおいようはい)』
メーカー (株)ナノ・グレインズ
価格(税別) 39,800円
サイズ 直径3.8cm 高さ6.1cm 重さ300g
販売場所 SUWAガラスの里 プレミアムショップ

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